平成29年度東北大学工学部編入学試験数学解答
お久しぶりです!ちゃかのぶです!
前回のブログを見たら,投稿日が4月25日となっていました...1カ月以上空いてしまい申し訳ないです...
言い訳になってしまいますが,毎週1本の実験レポートを仕上げるのに土日を費やしているので(僕の効率が悪いんですが...笑)ブログを書けませんでした.
今日(2021年6月5日)は実験レポートが無い日なので時間ができました笑
そんなわけで,今回は平成29年の数学になります.
問題Ⅰ
問1,問2
計算問題になります.面白いのは問2で,行列Aの逆行列が元の行列Aに一致します.
ある行列にその行列の逆行列をかけると単位行列Eになりますから,この事実はであることを意味します.
これは問3を解くカギになります!
問3
行列Bをで定義するとき,Bをnとxで表せとのことです.
をごり押しで計算してもいけるのかもしれませんが,Aの成分がxで表されているので中々大変そうですよね.
この手の問題は何らかの規則性を受験生に見つけさせるのが出題者の意図(僕の主観です)なので,とりあえずnに色々な数値を代入してみると良いです.
実際にn=3,4,...を代入してみるとという一般形でBを表現できることが分かると思います.
あとはを数学的帰納法で証明します.この場合の数学的帰納法はそんなに難しくないです.
という一般形が正しいことが分かったわけですが,の形が分からないのでこのままでは解答になりません.
そこで問2の結果を使います.東北大の数学は前の問で得られた結論を最後の問で応用するという形式が多いような気がします.
例えばn=3の時は,と変形できます.n=4の時は,と変形できます.つまりnが奇数の時は,nが偶数の時は[B=E]と表現できます.
したがって,nを奇数と偶数で場合分けしてBの形を書けば解が得られます.
問題Ⅱ
問1
空間図形の問題です.図が全くないのでとっつきにくいですよね...
問1は平面y=-1と曲面Sの交線の方程式を求めよとのことです.
平面と曲面の交線というのは,平面の方程式と曲面の方程式を同時に満たす点の集合です.
したがって,平面の方程式と曲面の方程式の連立方程式の解が交線の方程式になります.この場合はy=-1を曲面Sの方程式に代入するだけです.
z=の形に直すと放物線の式が現れるので,図示は簡単です.解答の図は曲面Sを平面y=-1で切ったときの断面図というわけです.
問2
問2についても平面Pの式を曲面Sの式に代入するだけでOKです.
問3
最初にこの問題に当たった時はかなり悩みました...発想が難しかったです.
上述しましたが,東北大の数学は前の問で得られた結論を後の問題で応用することが多いです.この問でも問2の考え方を応用します.
問2ではa=1として交線を求めました.その交線は円でした.このことから,曲面Sと平面Pが交わると交線は円になることが分かりました.
それでは曲面Sと平面Pが接している時,円の半径はどうなるでしょうか?
実際に図に起こしてみると,円の半径は0になることが想像できます.半径0の円というか,点ですね笑
そんなわけで,aに具体的な数値は代入せずに平面Pの式を曲面Sの式に代入してみます.うまく円の式っぽく変形すると,円の半径がaの式で表せることが分かります.
円の半径の式=0としてaを求めることができます.接点のx座標,y座標は円の中心の座標と考えられるので,解答のような一般形で表せます.
問4
二重積分で求めるのがおすすめです.領域Dをどのように定義するかと,どのように変数変換するかがコツです.
円や楕円の領域で二重積分するときは極座標を使って変数変換するのがオーソドックスなやり方で一番簡単です.
この問の場合,極座標に変数変換するときにと置くと良いです.
このように変数変換すると変換後の領域が簡単に表せます.
問題Ⅲ
問1
三項間漸化式です.以前紹介した受験の月や「編入数学入門」に解法が載っているのでぜひ見てみてください!
問2
この問の数学的帰納法はかなり独特です...僕は先輩から教えてもらったのですが,いまだに違和感を覚えます笑
普通,数学的帰納法はn=1の時成り立つ,n=kの時成り立つと仮定してn=k+1の時成り立つ...という論法で証明するのですが,この問についてはn=1,2の時成り立つ,n=k, k+1の時成り立つと仮定してn=k+2の時成り立つ...という感じなんですよね...
正直,あまり自信がないです笑
問3
こちらも数列に関する問題です.
(b)では数学的帰納法を使ってであることを示します.n=1の時は(a)で計算済みなので,n=kの時に成り立つと仮定してをうまく変形していきます.
問題での具体的な形が示されているので,この形をうまく作り出すのがコツです.
不等式の変形の仕方に気を付けてください!
(c)ですが,単調減少列であることを示すにはを示せば良いです.
数列の極限を求めるときは,やのn→∞のときの極限値が一致すると考えて定数αとおきαについて解きます.
似たような問題が「編入数学徹底研究」や「大学編入のための数学問題集」に載っていたと思います.
まとめ
平成29年の数学は全体的に難しかったと思います.
しかし,東北大の数学は前の問で得られた結論を後の問で応用するという形式が多いので,行き詰まったら前の問に戻ってもう一度考えてみるのがおすすめです!
最後まで見ていただきありがとうございました!