平成31年度東北大学工学部編入学試験数学解答
こんにちは!高専生ちゃかのぶです.
今回から平成31年度の東北大学工学部編入学試験の解答解説をしていこうと思います!
前回はこちら↓
問題Ⅰ
問1
媒介変数表示された関数の増減表,概形図示をする問題です.媒介変数表示された関数の増減表は,通常の増減表とは少し異なります.
で表された関数の増減表は,x,,yの値三行で構成されていますが,この問の場合t,,x,,yの値五行で構成します.
増減の向きを表す矢印も異なるので,解答の増減表と通常の増減表との相違点を押さえておいてください.
微分係数の正負についてですが,微分係数が0で挟まれている区間では符号は常に正か負かどちらかになります.0,-,-,+,0などとはなりません.
また,微分係数は0を挟むと符号が逆転しますが,鞍点は例外です.
鞍点とは1階の微分係数が0であると同時に,2階の微分係数も0である点です.
グラフの形はまさに馬に取り付ける鞍のようです.
鞍点では微分係数が0を挟んでも符号が逆転しませんが,媒介変数表示されている関数は多くの場合2階微分を計算できてもが解けないので,xやyの値の変化から増減の符号を判断します.
次にグラフの概形ですが,媒介変数表示された関数の場合を利用して各点での傾きを計算します.
注意するのはである点で,傾きが無限大になります.
傾き無限大というのは,y軸に並行であるということです.
問2
曲線の長さを求める問題です.公式を利用します.
半角の公式,2倍角の公式,といった三角関数に関する重要公式を多用するので変形が面倒です...
をの形に変形するのが目的です.
この問の場合,はになりますが根号を外すときにの符号に注意します.
問3
直線は丁度曲線CのX軸とy軸との交点を通るので積分区間は分かりやすいです.
あとはこの区間で曲線Cと直線のどちらが大きいかですが,図を書くと一目瞭然です.
問題Ⅱ
問1
二つの球面が交線を持つには,一方の球面上のある点が他方の球面の内部にあれば良いです.
解答では原点から球面の表面までの最短距離を利用しています.この距離は球面上の点の極座標とも考えられます.
そういうわけで,が球面の半径1より小さいなら球面上のある点は球面の内部に存在することになります.
問2
二つの球面の交線はどちらの球面も含んでいるので,球面,の方程式の両方を満たします.
球面の方程式をそれぞれ,とすると交線上の点は
を満たすはずです.
また,方程式の両辺を定数倍した式,も元の方程式と表す球面は同じなので
も成り立つはずです.これを整理していくと,
,
が得られます.高校数学の参考書には必ず載っている式です.
求めたいのは平面なので,2乗の項を消すのにk=-1としています.
実は受験の月に似た問題が掲載されています!
問3
aとrの値が与えられているので,問2で求めた式に代入してみるとが得られます.つまり,交線Cを含む方程式はx軸に垂直な平面,上にあるということです.
また交線Cは球面,の両方を含みますが,逆に言えば交線Cは点P,点Oからの距離が等しい点の集合と言うこともできます.
従ってを球面またはの方程式に代入すれば交線Cの方程式が得られます.
問4
まずは点Qと交線C上の点Rを通る直線の方程式を求めます.そのためには方向ベクトルを決定する必要があります.
点Rをどう表すかが問題ですが,解答では極座標表示してみました.
もちろん,yまたはzを定数として交線C上の点を表しても良いです.
円の方程式を扱う時に極座標を使うと,を使えるのでとても嬉しいんです.ただ,やの前の係数を忘れないでください.
方向ベクトルを決定したら,一旦媒介変数を使って直線の方程式を表します.
この問の場合,xがtの一次式で表されているので簡単にyとzをxの式で表すことができます.
そしたら(交線Cの方程式)に代入してz=0とすると最終的に楕円の式が得られます.
問題Ⅲ
問1
計算問題なので解説は省略します.
問2(a)
計算問題なので解説は省略します.
問2(b)
行列のn乗を求めよという問題が出た時に,計算方法は二通り考えられます.
一つはケーリー・ハミルトンの定理を利用する方法です.
”ケーリー・ハミルトンの定理 n乗”で検索してみてください.n乗が行列の和で表せるのでとても便利です.
ですが,固有多項式,固有値が必要なので2×2行列ならまだしも3×3行列になると結構計算が大変です...
二つ目はn乗の行列を予想して数学的帰納法で証明する方法です.
単純ですが,n乗の行列が予想できるかどうかにかかっているので悩みます(笑)
この問ではあらかじめとを計算させられるので,出題者側としては数学的帰納法で解いてほしいのでしょうね...
,だけでなくも計算しないと予想は難しいかもしれません.
予想が最も難しいのは1行3列目の成分だと思います.
数学的帰納法におけるn=k+1の時の計算方法ですが,この場合n=kの時に成り立つと仮定した式の両辺に,左からBをかけることでn=k+1の場合を計算します.
まとめ
平成31年度数学の解説をしました.問題Ⅰ,問題Ⅱは何よりも図を書いて問題の状況を把握することがカギです!普段から図を書く癖をつけておくと良いです!
最後まで見ていただきありがとうございました!